塩で食べる絶妙な味、山国納豆

実は京都が納豆の発祥地。古えからの食文化をつなぎ続ける皆さんには脱帽です。発酵文化ここにあり。

納豆といえば水戸が有名ですが、実は京都市京北地域にも古くから納豆づくりが根付いています。その理由は、この地域にある有名な臨済宗のお寺「常照皇寺」の記録に、修行していた光厳法皇に新藁で包んだに煮豆を包んで差し入れ献上をしたという一文があり、更にい、それが発酵してできた「ねば豆」を法皇が塩をかけて食べたとあります。おそらく、非常に古くからの食。納豆に塩とは、とても珍しい食べ方ですが、これが実においしい!

この塩をふりかけて食べる納豆を作っているのは、山国さきがけセンターの方々。このセンターでは、地域の食づくりを継続することで、周囲の環境の保護と雇用の両立を図ることを実行されています。納豆のための大豆は地元産。桂川の源流エリアでもあり、水は美しく土もよく、美味しい大豆が収穫できます。

そうして出来上がった納豆もよいのですが、更にユニークなものを作られています。それは納豆餅。650年の歴史をもつソウルフードです。少し大振りなお餅ですが、中にはたっぷりの納豆が。香り高いきなこを振りかけて食べるのですが、素朴で心温まる食べ物です。

京都の洛中とは異なり、この京北地域は驚くほど静かで、タイムスリップをしたかのように古からの環境が残っています。農業生産法人(有)山国さきがけセンターは豆と米を軸にして暮らす人が集まり、伝統を少しずつアレンジしながら、未来へとつなぐきちんと食文化を守り続けています。

納豆にお塩。食べないとおいしさを見逃して損します。

2022/10 現在

文:中村新