米のスペシャリストの米

ストイックなほどに地元の米を愛するKOKU。米粉のすばらしさを感じたければ、かならずこちらを使うべし。

グルテンフリーという言葉はだれしも聞いたことがあると思いますが、いったい何がよいのかとしっかり答えることができる人は意外に少ないのが現実です。
グルテンを含まない食べ物をとるライフスタイルがグルテンフリーですが、元々はグルテンが原因で体調に不調をきたすセリアック病患者のための食事療法のことでした。それが大きく解釈を広げてゆき、小麦粉アレルギー対象者にも対応し、今ではグルテン不耐性(グルテンが原因で起こる倦怠感などの不調になる)も含めた人々がグルテンフリーを必要としています。近い将来、グルテンフリーはグレインフリー(穀類不使用)にまで広がると予想しています。

「京都府綾部に、米について超マニアックな女性がいらっしゃる」という噂が耳に届きました。
iicome合同会社代表の宮園ナオミさんがその方です。宮園さんが進めているのは「京都グルテンフリー米粉プロジェクト」。一般的にグルテンフリーに取り組まれる方の多くは、ネガティブな局面から「私がやらないと!」と立ち上がられますが、この方は違います。お住まいになっている上林(かんばやし)地区のお米の美味しさがあまりに美味しいので、それを真面目に広めたいとの想いから、グルテンフリーというジャンルを一つの切り口とされて米の研究、開発をしている根っからの米大好き人間なのです。そして移住者。つまり、縁もゆかりも無い地に移り住み、地域の人々の心を耕しながら、米の可能性をこの地に定着させているという、恐るべき精神力の持ち主です。

宮園さんがこだわりの製法で作られた焼き菓子は量産されていませんが、幸運にもいただく機会がありました。冬の雪積る午後、わずかに残った米粉のお菓子を譲ってもらい、車のハンドル片手に、雪でタイヤが滑らないようにと慎重に食べた瞬間、その味の完成度の高さに「スペシャリスト」という言葉が何度も何度も頭の中をくるくる回り始めます。小麦粉を使用していないのに軽い、そして風味が良い。小麦粉を使用すれば容易く得られる菓子として当たり前のことが保水が命の米粉から得られています。単に製粉方法にこだわっているという生易しい気持ちの入り方ではなく、非常に科学的な見地で米を見つめているということ。一口食べればわかります。宮園さんは、損得考えずひたすらに心身のエネルギーを傾ける、米のオタクです。

是非皆さん、綾部を通りかかったらKOKUの店舗に寄りましょう。ネット通販では買えない米の世界が広がっています。

2022/9/10 現在

文:中村新