幻の小豆!瑞穂大納言小豆

瑞穂大納言を未来につなぐパイオニアとして、今後も大切な存在の樂農庵。最高品質を常に求める開拓者です。

瑞穂大納言小豆という小豆

瑞穂大納言小豆という小豆を今までに聞いたことはあるでしょうか・・・。
その昔、瑞穂大納言小豆はこの町(京丹波町)の特産品と言われるほど、多くの生産量がありました。多い時で65ヘクタールほども耕作されていた瑞穂大納言小豆。しかし、平28年には栽培面積が10ヘクタールまでにも減少していました。その原因は、栽培過程に非常に手が掛かること、その多くが夏場の手作業でした。そして、高齢化進む中で、必然的に減少していったのです。

樂農庵設立〜挑戦の始まり

そこでこの瑞穂大納言小豆を絶やしてはいけないと立ち上がったのが、自身をガキ百姓と表現される森本元さんです。
お若い頃は、国土交通省で働かれていた森本さんは退職後、この京丹波町の地に引っ越しをされました。古民家を2年半の歳月をかけて改造を行うと共に、自給自足の生活を営まれておりました。そんな中、地域の活性化を厚く願う方とのつながりで、瑞穂大納言小豆と出会い、そして《農を業》にされる決意をされ、農業法人・樂農庵を設立されたのです。それと同時に、瑞穂大納言小豆の耕作地を20ヘクタールまでに増やすことを目標に、森本さんの挑戦は始まりました。

赤いダイヤと言われる幻の小豆

瑞穂大納言小豆のルーツはよくわからずにいるのですが、昭和26年前後から質美村行仏という集落で耕作していた在来種の小豆が、俵型、大きさ、色艶、薄皮、超晩生の特徴が現在の瑞穂大納言小豆と同質であったと言われていることから、そこが発祥地なのかも?と森本さんは教えてくれました。

ただこの瑞穂大納言小豆、赤いダイヤと言われる程の素晴らし小豆で、菓子職人は手に入る事を疑う程の幻の小豆と言われています。その赤いダイヤ・幻の小豆は、栽培過程に手間がかかることが原因で減少していきました。しかし、森本さんはこの小豆を無くしてはいけないと、勉強に勉強を重ね、周りに助けられ、土作りから始めるエコロジー耕作を始められました。

ふかふかした自慢の畑

森本さんはこの畑が俺の自慢だ!とおっしゃいます。その畑の収穫を見させて頂きました。こだわりの土は、足を踏み入れると、なんと!ふかふかしていました。足で土を踏むとじんわり、ゆっくり沈むのです。そしてもう一つが、種を播くうねです。通常の育て方よりも、
数センチも高くうねを高くして、そしてうね間も計算して取られていました。小豆の栽培を始められてきた時から、数々の経験を重ね試行錯誤された森本さんの畑は、緻密に計算され、
そこには、綺麗な赤色で立派な俵型の森本流の瑞穂大納言小豆が育っていました。

樂農庵の栽培初年(平成28年)は、0.4ヘクタール。
現在(令和4年)の瑞穂大納言小豆の栽培地は、13ヘクタールにまで広がりました。
大きな覚悟、小さな挑戦から始まった小豆の栽培は、この土地の耕作放棄地を生まれ変わらせ、そして雇用も生まれ、地域の貢献につながると感じました。また、この立派な小豆が未来へと引き継がれていくことを、私は本当に嬉しく思いました。

白小豆・新たな挑戦!

そして今、新たな挑戦で白小豆も栽培されています。白小豆もまた、とても綺麗な小豆です。
私は興味深々になり、瑞穂大納言小豆と白小豆の両方を、ぜんざいにしてみました!
作る工程は多くは語りませんが、この2種類のぜんざいになるまでの過程は、全く違いました。と、同時に手前味噌ながらとても美味しかったです!

日本には昔からあんこ好む文化があり、そして今もイベントをすると大盛況です。
小豆の可能性は日本人にはまだまだ潜在的に眠っているように感じます。
この、赤いダイヤ・幻の小豆を言われている瑞穂大納言小豆を、是非とも一度ご賞味下さい。

追伸
お話上手の森本さんのお話はまだまだ続きましたが、沢山割愛させて頂きました。ごめんなさい!小豆の理論的な数値の話もあり、好きな人にはたまらない時間です。そこにご興味のある方は別途ご連絡をくださいませ。

2023/3 現在

文:金森幸子