古与曾(こよそ)古代米玄米

古代米の故郷で作られる赤米は、美味しさの中に、詫びさびを語る穏やかな色香がたっぷり含まれます。

古代米とは

古代米とは昔から栽培されてきたとされる有色素米(色のついたお米)の総称ですが、近ごろでは自然回帰食の代表として人気です。外食店舗でも白米に古代米を5%程度まぜて、優しい赤色のごはんを提供されているところも多くあります。

赤米保存会の発足

京丹後市弥栄町の歴史家の芦田行雄さんは、古代米について長年研究を重ね、その復活に尽力されてこられましたが他界。その強い意思をひき継ぎ、同じく弥栄町の芋野に住む藤村政良さんが、この地が古代米の故郷となるよう、地元の方々と「芋野郷赤米保存会」を立ち上げました。同会は、古代米田植えイベントや小学校での講義、そしてその生産など、今日に至るまで精力的に活動しています。

古与曾(こよそ)米の歴史

何故、この弥栄町が古代米の故郷なのかというと、昭和40年、平城京跡の発掘調査中に発見された木簡に「丹後国竹野郡芋野郷婇部古与曾赤舂米五斗」(弥栄(やさか)町芋野から税金として平城京へ赤米を献上していた、という内容)という文章があったからです。

そのことから古与曾(こよそ)と名付けられたこの古代米は、素朴な味わいと美しく淡い深紅が特徴。おにぎりによし、おこわにもよし、また健康にも良しと使い方次第で深みのある料理が完成します。古いことが良いのではなく、良い昔にリセットしてくれる素材の良さを料理人が使い語ることで、歴史が守られる。そんな想いをつなぎたい逸品です。

2022年10月 現在

文:中村新