和菓子職人の抹茶とわらび

お茶農家で和菓子職人がつくる美味しいスイーツ。数量限定のわらび餅はリピート必至。

京都府綾部市和木町。知る人ぞ知る梅の産地です。
この地に移住し、耕作継続が難しくなった茶畑を守り育てる農家があります。このご主人である橋本さん、なんと元和菓子職人。和菓子とお茶。これはもう約束されたおいしさを作り出しているだろうと胸躍り、訪問させていただきました。

雪降るある日、細い山道を上がってゆくと静かにたたずむ集落・和木があります。趣のある神社の横をすり抜けた突き当りに小さく洒落た看板、「GOODIES」。この違和感がたまりません。自宅の横に設けられたお店に入ると、そこはミニマムファクトリー。
腰を掛けさせていただいたその後「まずはこれでも」と、寒い中にいただいたお茶のなんと美味しいことか。うっすらと日が差す工房にふわりと漂う湯気と茶の香り。日本人ならではの安堵がここにはあります。

そして本題のお茶を使った和菓子はというと、茶わらびです。文字通りわらび餅なのですが、丁寧に練られた本わらび粉を一口大にまとめ、たっぷりのお茶の粉末をまぶした垂涎の一品。種類は緑茶とほうじ茶の2種類がありますが、これほど香り高いお茶菓子を食べたことがありません。これはやばい。一つや二つでは満足できないおいしさの連続です。

いろんなお菓子をお作りになられてきたのですが、お茶を食べるという感覚を大切にすると、水で美味しくなるわらび餅との相性が最も良いという判断で、開発はここ一本に絞られています。「いろいろ出来るけど、田んぼもあるし、茶園もあるし・・」、と、地域を支える者の忙しさは、1品の磨きこみという結果をもたらしていました。
日本茶はカテキンが旨みの基です。太陽の光と水と土。このバランスとお茶の木の年齢でカテキンの個性が決まってきます。GOODIESのカテキンは、和菓子のためにあるようなシャープな重さが特徴。是非一度召し上がってみてください。もちろん、和木のお茶と一緒にどうぞ。

2022/11 現在

文:中村新