京都が育んだキノコ(椎茸)
一度使うとやめられないシイタケ。原木を超える菌床栽培の味は、特筆すべき発見です。
原木栽培シイタケが最上と思っていました。クヌギの木の栄養がシイタケの隅々にまで巡ったおいしさは格別で、菌床栽培には到底真似ができないと・・・。
人気飲食店から高い評価の品質
京都府南丹市にあるアビアス京都。ここは元々ウレタン製造加工のメーカーとして起業された会社です。ウレタンはご存知の通り多孔性のマットのようなもので、断熱性に優れています。建築資材では主に省エネにつながる断熱材として使用されているのですが、その特性を生かしてシイタケ栽培を始められたのが同社の代表中川頼司さん。「自社のウレタン素材を使用して断熱性の高い施設をつくり、均一した条件の中で美味しいシイタケを」という動機でスタートしました。今では「アビアスの生シイタケ無くてはメニューが組めない」という人気飲食店も多く存在するほどの品質を誇っています。
京都が育んだキノコを育てる中川頼司(ナカガワヨリツカ)さん
一般的にシイタケにかかわらず、菌床栽培のキノコ生産は湿度の高い環境を作って行われています。栽培施設に入るとたくさんのミストが噴出され、じっとりと肌が濡れてしまうほど。キノコ類は湿気が多い環境を好み、またそういう環境であれば早く成長するので、収量を多く確保したい生産者は湿気を強く与えています。
何とアビアス京都は真逆の方法をとります。ギリギリまで湿気を抑えて成長させているのです。生育期間は一般的なものと比べると1.5倍。ゆっくりと成長するため、その分ぎっしりと身の詰まった重いシイタケが出来上がり、軸の部分も美味しくなって収穫されます。
ウレタン素材を使用した菌床でキノコの芽が出たところ 芽がでて2日目頃 芽がでて3日目頃
圧倒的な肉質
まず傘の部分を生で食べてみてください。「甘くてすがすがしい香り」に口の中が占領されます。水っぽいシイタケを生で食べると半日ほど独特の香りに悩まされますが、このシイタケは全くそういうことがありません。焼いてよし、蒸してよし、揚げてよし。原木シイタケだけが為しえてえてきた「圧倒的な肉質」という世界が、ここアビアス京都の菌床シイタケにも生きていました。
A品のしいたけ/身は非常に肉厚 サッと炙ってスライスにたしいたけ
「京都が育んだキノコ」というキャッチフレーズのアビアス京都の菌床栽培シイタケ。私なら「日本が育む極みキノコ」で世界に打って出ます。無論おすすめ料理は「シイタケの刺身」で。
文:中村新